健康経営とは
日本は2007年に超高齢化社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会)に突入しましたが、2060年には約40%に達すると考えられています*1。
医療の高度化や国民医療費等社会保障費増加による財政の圧迫、生産年齢人口減少による労働力の低下、介護離職による労働力の更なる低下が懸念され*2、経済規模の縮小や成長にブレーキが掛かる可能性が危惧されています。
医療・介護給付費の推移・予測を踏まえ、経済産業省は、公的な保険外で予防・健康管理サービスの活用を推進するため、法人に対して健康経営(法人の従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資)を求め、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することで、将来の社会保障制度の維持に向けた措置を講じています。2016年からは、健康経営優良法人(従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人)認定制度も開始されています。
2020年は新型コロナ感染症の影響もあり、今後も医療費の大幅な削減と共に、新しい生活様式に対応した予防・重症化予防・健康づくりが模索されていくと考えられます*3。
それらの社会的な背景に対し、多くの事業者が健康への問題意識を持ち、従業員の予防に主体的に取り組むことで、健康寿命の延長と社会保障制度の維持に寄与する「健康経営」の裾野の拡大の方向性が示されています*4。
出展: *1: 健康長寿ネット(公益社団法人 長寿科学振興財団) https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-shakai/nihon.html (2021年7月24日閲覧) *2: 健康経営の推進について(経済産業省ヘルスケア産業課) https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/2018setsumeikai_meti.pdf (2021年7月24日閲覧) 経済産業省における ヘルスケア産業政策について(経済産業省ヘルスケア産業課)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/(2021年7月24日閲覧) *3:第143回社会保障審議会医療保険部会 資料(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19463.html(2021年7月24日閲覧) *4: 健康・医療戦略推進本部(首相官邸) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai35/gijisidai.html(2021年7月24日閲覧)
働く世代の有訴症状(2019年)
2019年の国民生活基礎調査「最も気になる症状の治療状況(有訴症状)」として、以下の症状が報告されています。
そのうち腰痛、肩こり、体がだるい、頭痛については、無治療かセルフケアでの対応が多い状況にあります(男女合算:重複回答を含む)。
その他、「手足が冷える」、「足のむくみやだるさ」、「月経不順や月経痛」、「いらいらする」、「耳鳴りがする」などの有訴症状も、同様の傾向が報告されています。
「体がだるい」については、約23%が「仕事や家業、学業に影響する」と回答しており、その他、仕事や収入に対する悩みやストレスを抱えている人に多い症状として「頭痛」、「肩こり」の他、「月経不順」、「月経痛」などが挙げられます。
また、特に20〜39歳の男女は、68%以上が有訴症状を無治療かセルフケアで対処していると考えられます。
無治療の割合が30%を上回る職種として専門的・技術的職業従事者、生産工程従事者、事務従事者が該当し、販売従事者、サービス職業従事者はセルフケアで対処する割合が高いことが示唆されています。
また「腰痛」、「手足の関節が痛む」、「たんが出る」、「鼻がつまる・鼻水が出る」など上位を占める有訴症状は、心の状態*1が良くない頻度が多いと回答した男女の約半数に認められています。
一方で、ネガティブに感じる頻度が比較的少ない場合でも、上位を占めている有訴症状として「眠れない」、「イライラしやすい」、「消化器症状(腹痛・胃痛、食欲不振)」、「月経痛・月経不順」等があります。
以上、厚生労働省.2019年国民生活基礎調査結果より作成(除:入院, 除:不詳) *1: 心の状態:「神経過敏」、「絶望的」、「そわそわ落ち着かない」、「気分が沈み込む」、「何をするのも骨折りだ」、「自分は価値がない人間だ」と感じる頻度(いつも、たいてい、ときどき、少しだけ、全くない)への回答に基づく。
今後は20〜30歳代からの幅広い年齢層からのセルフメディケーションを広げること、適切な生活習慣を身につけることが求められていくことが推察されます*1。
*1: セルフメディケーション:「自分自身の健康に責任をもち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(世界保健機関(WHO)定義) 参考:第144回社会保障審議会医療保険部会 議事録(令和3年7月29日)
一方で、後期高齢者の急増する2022年問題等を背景に、医療費抑制のため、2012年以降、処方薬の制限(医療保険適用外)と患者自己負担割合の引き上げが進んでいます。
セルフメディケーション税制(所得控除)があるとはいえ、今後も自己負担割合が増えることが予測されます*1。
今後、年齢を問わず、より一層”病気にならない”ことが求められるようになると考えられます。
[処方制限対象薬]
ビタミン剤(栄養補助、美容目的)、うがい薬(治療目的以外)、湿布薬(1回処方量上限の制限)
*1: 健康保険組合連合会 統計データ(https://www.kenporen.com/toukei_data/index_r2.shtml :2021年11月3日アクセス)
プレゼンティーイズム*1による労働生産性の損失は、医療費やアブセンティーイズム*2による損失より大きいとされています*3。
またプレゼンティーイズムは健康リスクの上昇に伴って増加するため*4、リスクレベルの低い段階からの働きかけが有用と考えられています。
プレゼンティーイズムの主な原因としては、腰痛や頭痛、うつ病などが挙げられています。
新型コロナウィルス感染症による自粛期間や働き方の変化によって、身体活動時間の減少や座位行動時間の増加による勤労世代の健康二次被害への予防に必要性も提唱されています*5。
前述のとおり、プレゼンティーイズムに繋がると考えられる症状は、無治療かセルフケアで対処されている現状があります。
*1: 出勤はしているものの体調は優れず、生産性が低下している状態 *2: なんらかの病気によって会社を休む状況 *3: 参考:経済産業省「平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス抄出支援等) 健康経営評価指標の策定・活用事業」 *4: 参考:古川祐司他. 中小企業における労働生産性の損失とその影響要因. 日本労働研究雑誌、2018 *5: 沢田秀司 .コロナ時代の職域でのロコモ対策はどうあるべきか?. ロコキュア運動器領域の医学情報誌 7(1), 24-30, 2021-02
健康経営・健康経営優良法人認定によるメリット・デメリット
【メリット】*1
[攻めの健康経営]
○労働生産性の向上
・従業員の皆様の体調不良に伴う労働生産性の損失を抑制します。
・従業員の皆様の活力の向上が期待できます。
○社会的評価・企業イメージの向上(健康経営優良法人認定を受けた場合)
1. 法人内で期待できるメリット
・生産性の向上
・社会的評価(知名度、企業イメージ)の向上(Webでの公表・PR活用等)
→優秀な人財の採用、採用者募集コストの削減等
・従業員福利厚生向上(住宅ローン金利優遇等)
・離職率抑制
・社会的課題への寄与・貢献
・法人負担医療費の適正化
2. 自治体や金融機関等によるインセンティブ
・財務的なメリット(融資優遇、保証料の減額や免除、奨励金、補助金、助成金)
・売り上げ面のメリット(自治体が行う公共調達加点要件等)
・自治体など独自の健康経営企業認定・県知事による表彰
・ハローワーク等で求人資料にロゴやステッカーを使用(企業イメージの向上・人材確保) 他
【守りの健康経営】
○リスクマネジメント(労働災害発生の防止、事故・不祥事の予防、企業負担の軽減等
*1:中小企業への健康経営の普及(経済産業省ヘルスケア産業課) https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/2018setsumeikai_meti.pdf (2021年7月24日閲覧)
【デメリット】
健康経営や優良法人認定に伴う手続きや実績報告、データの集積・チェックが必要となります。
※健康経営は、公的な保険外での予防・健康管理サービスの活用となりますので、法人のみの適用となります。
健康経営は、従業員の健康管理を経営的視点で捉え、戦略的に実践する“投資”と考えられます。
すいか庵オフィスケアのコンサルティング
すいか庵オフィスケアでは、健康経営に取り組む中小企業様に対して、課題抽出・改善提案・計画策定等の実践支援を担う専門的な人材(健康経営エキスパートアドバイザー)として認定を受けたスタッフが、健康経営実施のための手続きや健康企業宣言、目標設定、実績報告、具体的な対策のご提案、データの集計・分析・評価に至るまで、サポートを承ります。
【手順例】
- ヒアリング
- 健康企業宣言作成補助
- 組織体制整備
- 健康課題の確認
- 計画策定・具体的な実践・対策のご提案/支援、データ収集
- データ分析、効果判定・評価、改善(見直し)
*健康経営に掛かるアドバイスは、経営、人事・労務、医療、健康、保健、様々な専門家が連携して行うことが求められており、必要に応じて個別にご相談させて頂きます。
【コンサルティング料金】
例)従業員数50名未満
1回あたり1~2時間訪問
初回:10万円[税別](健康経営診断・課題抽出、外部リソース・情報収集、他の専門家との調整等)
2回目以降:1回あたり3万円〜[税別]
*事業規模、従業員数、産業医・産業保健師の有無等により料金が異なります。
*別途、交通費
具体的な実践・対策のご提案
すいか庵オフィスケアでは、職場に“安心・安全・健全”なマッサージと共に、“手の温もり”の力をお届けします。
プレゼンティーイズムに繋がると考えられる症状にアプローチし、適切なセルフケアをサポートいたします。
仕事の休憩時間に疲労を取り除き、気分転換を図ることで、パフォーマンス、作業効率を向上させることが期待できます。
※ご利用者様の声も、ご参照ください。
マッサージには一般に、以下の効果が期待できると報告されています。
・身体(筋肉・軟部組織・関節・神経・血液やリンパ等の循環)へのアプローチ
・腰痛、肩こり、むくみ、消化器・呼吸器症状等の軽減
・メンタル、ストレス・不定愁訴へのアプローチ
・自律神経やホルモンへの働きかけ
(ストレスホルモン[コルチゾール]の抑制、精神安定・やる気ホルモン[セロトニン]の増加、思いやり・幸せホルモン[オキシトシン]の増加 他)
”心地よい”健康経営をご提案致します。
すいか庵オフィスケアでは、下記のスタッフがサービスをご提供いたします。 ◉あん摩マッサージ指圧師(国家資格者)スタッフ(男女) →東洋医学・西洋医学双方の視点から安全な施術、運動療法、セルフケアのご提案 ◉訪問マッサージ(介護)経験スタッフ →高齢の従業員の方へ、安全な施術とセルフケアのご提案 ◉女性の健康アドバイザー(大塚ヘルシーエイジングサポーター)認定スタッフ(女性) →女性従業員の方へのアプローチによる施術とセルフケアのご提案 ◉産業カウンセラー認定スタッフ →傾聴によるメンタルへのアプローチ ◉薬剤師スタッフ →西洋医学・東洋医学(漢方)双方の視点から一次予防の情報提供、薬物治療とマッサージの併用に関する安全面の確認 |
すいか庵オフィスケアでは、以下のスタイルでのサービスの提供を行なっております。 ・事業者様とご契約の下、ご指定の日時に職場(スペースをご提供ください)へスタッフがお伺いし、従業員の方々へマッサージをご提供します。・テレワーク対応として、ケアスペース(店舗:烏丸御池)を特別割引価格でご利用頂けます。 より充実したマッサージの他、自己回復力の向上を目指したセルフケア・プログラムもご用意しております。 感染防止の為、一度に1~2名のご利用(完全予約制)となります。 |
すいか庵オフィスケアでは、他の医療業種との連携を含め、セミナー等のご提案も行なっております。健康教育機会(ヘルスリテラシーの向上)としてもお役立てください。
ヘルスリテラシーとは、自分に必要な健康情報を選び、理解し、評価し、活用できる能力を指します。個々人のヘルスリテラシーが高いことで、危険な行動や不健康な行動を回避し、それが会社や社会にとっても健康や幸福の実現に繋がると考えられています。 |
データ集積、評価・分析のご提案
【データ収集】
すいか庵オフィスケアでは、体組成計等により以下を始めとしたデータのご活用が可能です。
・体重、脂肪量・筋肉量(四肢体幹別)、体水分量、推定骨量、除脂肪量
・体型判定(体脂肪率・筋肉量)、内臓脂肪レベル、基礎代謝量、ボディーバランス、脚力評価
・SMI(サルコペニア指数)、Phase angle(筋肉の質、身体活動レベル、浮腫)
【評価・分析】
すいか庵オフィスケアでは、上記のデータを下に、大学等での臨床研究の支援経験スタッフが資料をとりまとめ、健康経営の評価・分析のご提案を承ります。